亡くなる順序で相続できる人が異なる場合も ~代襲相続と相次相続~
- 真本 就平
- 2024年3月28日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年4月23日
親が亡くなり、その相続を考えなければならないとき、
子どもの中にすでに亡くなってしまった人がいると、
その亡くなった子(元々の人から見ると孫)も、相続に参加することになります。
そのような場合、親と子のどちらが先に亡くなったかによって、
相続に関わる人が異なる場合が生じる可能性があります。
下の画像において、亡き母親がAで、
Aの夫はAよりも先に亡くなっており、Aの長男がBで、亡くなる二男がC。
Cの妻がD、長男がE(Aにとっては孫)として、説明を進めます。

まず画像の左側が、子Cが先に亡くなり、次に親Aが亡くなった場合です。
Aの相続人は、BとCになるはずのところ、Cはこの世にいません。
このように本来相続人となるはずだった人がすでに亡くなっていたときは、
民法に従い、亡くなった人の子がその亡くなった人の代わりに相続人になります。
これを「代襲相続」「だいしゅうそうぞく」と言います。
Eは亡きCの子なので、代襲相続によりCの代わりに相続人になるため、
BとともにAの相続人になります。
DはCの妻であり、代襲相続ができないので、Aの相続に係る権利はありません。
そのため、Aの遺産分割協議は、BとDによって実施されます。
代襲相続については、子だけでなく、孫やひ孫以下も対象になり、
兄弟姉妹も対象になりますが、今回のブログでは省略します。
また、死亡だけでなく、欠格と廃除も代襲相続の原因になりますが、
めったに起こらないことなので、この説明も省略します。
なお、Cが有していた自らの財産については、Cが亡くなったとき、
つまりAの死去よりも先に、妻Dと子Eが相続人として受け継ぎます。
一方、画像の右側は、親Aが先に亡くなり、次に子Cが亡くなった場合です。
もしもAが亡くなってすぐに、Aの相続人であるBとCが相続手続きを
済ませていれば、順番に相続が生じたに過ぎないのですが、
世の中には、Aの相続手続きができない場合や間に合わない場合も起こります。
このように、先に生じた相続の手続きが終わらないまま、
その中の相続人に相続が生じる場合のことを「相次相続」と呼びます。
「相次」は「そうじ」または「あいつぎ」と読みます。
この場合、後に亡くなった人が持っていた相続人としての権利義務は、
亡くなった人の相続人が引き継ぎます。
当該相続人が複数いる場合、相続人全員が相続分に応じて引き継ぎます。
Cが有していた自らの財産については、
Cの相続人である妻Dと子Eが受け継ぎます。
それとともに、CはAの相続人としての権利義務を持ったままだったので、
DとEの両方とも、当該権利義務を引き継ぐことになります。
そのため、Aの相続手続きを進めるためには、
Bに加えて、DとEの両者が参加する必要があります。
Aの遺産分割協議は、BDEの全員で実施することが必須になります。
こうした事態は、Aが亡くなった後、相続手続きを長年放置していて、
そのままCが亡くなった場合にも、生じます。
さらに放置を続けると、BやDEにも相次相続が生じてしまいます。
年月を重ねるうちに、何回も相次相続が生じ、権利者の数が膨大になってしまい、
いざ手続きを進めようとしても、大変な苦労がかかることも珍しくありません。