令和6年の年初から贈与と相続の税制が変わっています
- 真本 就平
- 2024年2月2日
- 読了時間: 3分
令和6年が始まってすでに1カ月が経過しました。
贈与や相続に関連して、令和6年1月1日から税制度が大まかなところで
3点変わっているため、大まかに紹介いたします。
1つ目は、相続税に加算する生前贈与の期間延長です。
相続税の課税対象になるのは、亡くなった方から受け継いだ遺産だけでなく、
その亡くなった方から生前に贈与を受けた一定期間の財産も対象になるため、
遺産にその生前贈与を加算して、相続税を算出する必要があります。
遺産を相続した相続人だけでなく、遺言で遺産を受け取った人や、
死亡保険金を受け取った人に対する生前贈与も対象になります。
これまでは相続発生前3年以内に贈与を受けた財産が対象でしたが、
延長の結果、贈与をした人が7年以内に亡くなったとき、
後から相続税の対象になってしまいます。
ただし、延長された4年間に受けた贈与については、
合計100万円までの分は、加算されません。
もっとも、令和6年1月1日以降の生前贈与から適用されるため、
実際に3年よりも長い取扱いが始まるのは、令和9年1月からの相続で、
そこから段階的に延長が進み、令和13年に完全に7年間となります。
2つ目は、相続時精算課税制度の改正です。
この制度そのものは、一定範囲の親や祖父母から子や孫に対する贈与について、
贈与税で特別な扱いをした上で、贈与をした人が亡くなったときに、
その生前贈与を遺産に含めて、相続税で精算するものです。
税務署への手続きが必要ですが、累積で2,500万円まで贈与税がかかりません。
令和6年1月以降の贈与では、相続時精算課税制度を使うときも、
暦年で110万円の基礎控除が認められます。
これにより、初めにこの制度を選択する届出さえしておけば、
年間110万円までなら、贈与税の確定申告が不要になります。
しかも、相続税の計算において、年間110万円までの生前贈与が
加算の対象から外れるようになります。
この2つの変更は、財務省がホームページの中で説明しており、
画像はその1部です。 → リンク

3つ目は、マンションの評価額を算出する方法の変更で、
令和6年1月以降に開始した相続に係る相続税と
令和6年1月以降の贈与に係る贈与税が対象になります。
相続税や贈与税では、マンションの評価は基本的に、
敷地利用権として、マンションの敷地全体の評価に敷地権の割合を掛け算して、
建物部分の区分所有権として、建物の固定資産税の評価額を足し算します。
令和6年以降は、居住用の区分所有財産に該当すると、
築年数、総階数や所在階、敷地利用権の面積や専有部分の床面積を基に、
区分所有補正率が算出されて、評価額を計算するのが複雑になります。
以前に節税が問題になったタワーマンションのみならず、
居住用の区分所有の分譲マンションもろもろが対象になるばかりか、
二世帯住宅など一戸建てに区分所有権が設定がされた家屋のうち、
親族のみが居住するなどの条件を満たさないものも対象になります。
一方、事業用のオフィスビルや区分所有の登記がない建物は対象にはなりません。
国税庁のホームページの中に、居住用の区分所有財産の評価の変更を
紹介している資料がございます。 → リンク
以上のとおり、相続税や贈与税の制度変更について紹介しましたが、
具体的な税務相談、税額の計算や税務申告は、税理士にご依頼ください。