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令和6年3月、本人が窓口で戸籍謄本をどこでもまとめて入手可能に

更新日:2024年4月25日

 相続手続きをする際、亡くなった方の戸籍謄本について、

生まれてから亡くなるまで連続したものが必要になることがよくあります。

 対象になる方が結婚や転籍によって、別の市区町村に本籍地を移していると、

それぞれの市区町村から戸籍謄本を入手しなければならないため、

手間や時間がどうしてもかかってしまいます。


 また、自分自身の戸籍を入手する場合も含め、

本籍地が住所地の市区町村とは異なるため、

本籍地の役所に対して郵送で手続きをする必要もよくあります。


 こうした不便さを解消できるよう、戸籍の制度が改正され、

令和6年3月1日に「広域交付」の実施が始まりました。


 もっとも、運用初日の3月1日に、広域交付のシステムに通信障害が発生して、

3月6日現在、障害が回復していないため、まだ不便な状態は続いていますが、

以下では、システムが正常に作動する場合の仕組みを紹介いたします。


【令和6年3月14日追記】

 現在は戸籍の広域交付のシステムに大幅な改善傾向がみられ、

全国の市区町村で順次、通常の発行ができるようになっているようです。

【追記はここまで】


 令和元年の法律改正によって、広域交付制度を含め、戸籍の制度がいくつか

変更されることになり、法務省がホームページで紹介しています。 → リンク

 画像は、その中で今回取り上げる部分になります。



 まず、自分自身の戸籍謄本を取得する場合を例に挙げますと、

これまでは、本籍地がある市区町村だけでしか手続きができませんでしたが、

今後は、全国どこの市区町村の戸籍担当窓口でも、入手できるようになります。


 これにより、本籍地が遠くにあっても、そこと郵送のやり取りをするのではなく、

お住まいの市区町村を始め、勤務先や移動途中にある市区町村でも、

窓口に立ち寄って、戸籍謄本を取得できるようになります。


 また、結婚や転籍によって本籍地が移転する場合、

移転先で新しい戸籍が作られ、もともとの市区町村では、除籍が保管されます。

 こうなると、自分の過去の戸籍も含めて入手する必要があるとき、

現在の戸籍謄本と除籍謄本とで、別々の市区町村に対して手続きをしていましたが、

どこか1カ所の市区町村の窓口で、まとめて取得できるようになります。


 なお、広域交付制度などコンピューター化された戸籍関係で取得する書類のことを

正式には、「戸籍証明書」や「除籍証明書」と呼びますが、

このブログでは、昔ながらの呼び方の「戸籍謄本」や「除籍謄本」を使います。


 それから、自分自身の戸籍だけでなく、一定範囲の家族の戸籍も対象になります。

 その範囲は、結婚相手(配偶者)、父母や祖父母など(直系尊属)、

子や孫など(直系卑属)に限られますが、自分で請求することが可能です。


 これにより、自分の親が亡くなったため、相続手続きをする際、

亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本を、

どこの市区町村の窓口でも、まとめて入手できるようになります。

 複数の市区町村それぞれに手続きをしなくて済むので、これは大変便利になります。


【令和6年4月25日追記】

 配偶者が亡くなった場合でも、広域交付制度において、婚姻後だけでなく、

配偶者の婚姻前の戸籍謄本も請求できる取扱いが認められるようですので、

請求先の市区町村にご確認ください。

【追記はここまで】


 しかし、戸籍を請求する人ご自身が、戸籍担当窓口を訪問して手続きをしなければ、

広域交付制度を利用できません。

 1つの市区町村で完結する場合には、当該市区町村に対して、

郵送で請求したり、委任状を書いて代理人に行ってもらったり、

行政書士・司法書士・弁護士といった専門家に任せることができますが、

本籍地以外の市区町村から入手する場合には、こうした対応が認められません。

 個人情報の保護と、一部の役所に負担が集中することを防ぐことが理由のようです。


 また、窓口での本人確認について、運転免許証やマイナンバーカードなど、

官公署が発行した顔写真付きの身分証明書を提示することが必要で、

通常よりも厳しくなっています。


 このほか、住民票上の住所が戸籍に結び付いた「戸籍の附票」や

戸籍抄本(個人事項証明書)は、広域交付制度の対象ではありません。

 コンピューター化されていない一部の除籍も対象外になります。

 こうしたものが必要ならば、これまでどおり本籍地の市町村に対して、

郵送などで請求する必要があります。


 それから、過去の戸籍謄本が多いと、役所でも現在から順々にさかのぼる必要があり、

1つの市区町村で完結する場合でも、調べたり点検するのに時間がかかってしまう上、

広域交付制度では、別の市区町村の情報も取り寄せる手間がかかるため、

窓口で結構待たされる可能性が高いことは、ご注意ください。


 また、戸籍謄本を発行するに当たり、本籍地の市区町村に確認する必要があるため、

平日の夕方や夜、土曜日曜祝日など、本籍地の市区町村が閉庁していると、

その戸籍謄本は発行されないため、再び手続きを取らなければなりません。

 この運用は当面の間と説明されているので、将来的には解消されるかもしれません。


 当事務所が位置する京都市では、区役所や証明書発行コーナーなどで、

広域交付制度の対応がなされ、ホームページでも説明がなされています。 → リンク


 証明書発行コーナーは、平日の夕方や土曜日曜でも開いていますが、

こうした時間や曜日では、広域交付制度が利用できないことに注意が必要です。


 戸籍の広域交付制度により、相続手続きに必要な戸籍謄本を集める際、

相続人がご自身の戸籍謄本に加え、親のすべての戸籍謄本を

(場合によっては、祖父母のすべての戸籍謄本も)自ら役所の窓口で入手して、

兄弟姉妹・おじやおば・甥や姪の戸籍謄本や、必要な戸籍の附票は、

別に専門家へ依頼する方法が考えられます。


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