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兄弟姉妹や甥姪が相続人になるとき遺言を ~遺留分の権利がないから~

更新日:2024年4月16日

 夫婦の間に子どもがいないまま、高齢を迎える家庭が、近頃増えています。

 このような夫婦のどちらかがお亡くなりになると、通常、

結婚相手に加え、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。


 世の中の家庭にはいろいろとありますが、夫婦が結婚して以来、

一文無しから財産をこつこつと積み上げてきた場合もあるでしょう。

 そのような家庭にとって、夫婦の間に子がいないことによって、

兄弟姉妹が財産を受け継ぐことになるのが、心地良いものでないかもしれません。


 また、兄弟姉妹が先に亡くなっていても、「代襲相続」によって、

兄弟姉妹の子、つまり亡くなった人にとって甥や姪が相続人になるのが、

心地良く感じられない家庭もあるかもしれません。


 そこで、結婚相手だけに財産を残す意思がおありならば、

その意思を実現できる方法があります。それは遺言を作成することです。



 遺言は、自分が亡くなった後に自らの財産をどう引き継がせるかを

自ら決めて作成するもので、本人の最終意思を尊重しようとする考えに基づきます。

 そのため、財産の全部を特定の人、例えば結婚相手に残す内容の遺言も、

そのこと自体は有効なもので、遺産の名義変更の手続きも進められます。


 しかし、遺言によって「遺留分」を侵害された相続人がいれば、

その人は遺言により財産を得た人に対して、

遺留分を侵害された額に相当する金銭の支払いを請求することができます。

 遺留分とは、民法に定められた権利で、

一定の相続人に対して留保された相続財産の割合のことを言います。


 例えば、妻と子1人がいて、妻に全財産を相続させる遺言が実行されても、

子は遺留分の侵害を理由に、全財産の4分の1に相当する金銭を請求でき、

妻(その子にとって母親)はその請求に応じなければなりません。


 ところが、兄弟姉妹や甥姪には、この遺留分の権利がありません。

 財産については亡くなった本人との関係が、

子孫や親ほど強くないことを考慮しているからと言えます。


 そのため、妻に加えて弟1人と甥1人が相続人となる場合には、

妻に全財産を相続させる遺言があれば、

弟や甥から金銭を請求されることもなく、遺言の内容を実現できるのです。



 このことは、先に結婚相手が亡くなっている場合でも当てはまります。

 自分または夫婦がお世話になった人に全財産を与える遺言を残しても、

兄弟姉妹や甥姪には遺留分がないので、遺産を分けるような主張はできません。


 なお、相続としてではなく、特定の人に財産を死後に与える「遺贈」であっても、

遺言の内容や手法を工夫しておくことで、

名義変更などの手続きを円滑に進められる場合があります。


 さらに、兄弟姉妹や甥姪に相続させても良いと考えている場合でも、

遺言で誰にどう与えるかを具体的に指定しておくことをお勧めします。

 相続人である当事者が遺産分割協議を含めた相続手続きを進めるよりも、

遺言に基づく手続きの方が、一般的には負担が少ないからです。

 特に、複数の甥姪が相続人になる場合、

その当人同士はいとこ(従兄弟姉妹)の関係になるわけで、

家族の状況によっては、上手に話し合いや連携ができないこともありえます。


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