公正証書遺言の作成手順を紹介
- 真本 就平
- 2024年2月27日
- 読了時間: 3分
自分の財産を亡くなった後にどうするか自ら決めておくのが遺言です。
最近は自筆の遺言を作成するのも便利になりましたが、
公証人という第三者が作成する公正証書を使う方が、安全で確実ではあります。
一方で、手続きが煩雑で、費用が高くつくのは事実です。
しかし、作り方を予め知っておけば、負担感が少なくなるかと思います。
そこで、通常の手順をおおまかに紹介いたします。

「公証人」とは、法律に関して高度な知識と実務経験を持ち、
公正中立な立場で仕事をする特別な公務員のことです。
また、公証人がいる役所が公証役場になります。
「公正証書」とは、公証人が依頼を受けて作成する公文書のことであり、
内容が明確であり、証拠としての有効性も高いものです。
この公正証書を使って作る遺言が、公正証書遺言と呼ばれます。
公証人の集まりである日本公証人連合会がホームページで公正証書遺言について、
紹介しているので、こちらも参考にしてください。 → リンク
・打合せ
遺言を希望する人がいきなり公証人に会ってすぐに完成するのではありません。
まず、公証人と連絡を取って、打ち合わせをします。
そこで、どのような遺言を作成したいのかを公証人に伝えることになります。
また、自分の戸籍謄本を提出して、相続人との関係性を示すほか、
不動産登記謄本や固定資産税の課税明細書で、所有する不動産の状況を説明し、
預貯金などの財産についてわかる資料を提出する必要があります。
遺言作成に立ち会う証人が2人必要なので、その情報もこのときに伝えますが、
未成年者のほか、相続人になる人や遺言で財産を受け継ぐ人、
及びこうした人の配偶者や直系血族は、証人になることができません。
その後、公証人が遺言の文案を作成して、電子メールや郵送により提示するので、
遺言者は内容をきちんと確認します。
疑問があったり修正が必要ならば、その旨を公証人に伝えます。
こうして、遺言の文面が確定していきます。
そして、遺言を作成するために関係者が全員そろう日時を相談によって決めます。
公証人に支払うことになる手数料の予定金額も教えてもらえます。
なお、こうした打合せを家族や行政書士などの専門家が本人に代わって、
公証人と行うこともできます。
・作成当日
予定の日時になれば、遺言者と証人2名が公証役場を訪れて、公証人に会います。
遺言者は実印と印鑑証明書(打合せ段階で提出していない場合)を、
証人を認印(朱肉で押すもの)を持ってきてください。
まず、遺言者が証人の前で公証人に遺言の内容を口述する手続きがありますが、
公証人が遺言に関する事柄を質問して、遺言者が答えることで、進められます。
遺言者に判断能力があるかどうか、真意かどうかの確認もしています。
次に、打ち合わせの内容に従った公正証書遺言を公証人が用意して、
遺言者と証人に対して読み上げるので、遺言の内容に間違いがないことを確認します。
そして、公正証書遺言の原本に、遺言者が署名をして実印を押し、
証人2名がそれぞれ署名をして認印を押します。
最後に、公証人が署名をして、職印を押すことで、遺言が完成します。
公証人に対する手数料は、その場で全額を支払う必要がありますが、
現金だけでなく、令和4年からクレジットカードでも支払えるようになりました。
手数料額は財産の総額や遺言の内容によって変動しますが、
数万円から十数万円になることが通常です。
署名などがなされた公正証書遺言の原本は、公証役場で大切に保管されます。
一方、原本と内容が同一であると公証人が証明した「正本」と「謄本」が
遺言者に渡されるので、持ち帰ります。
公正証書遺言の場合、どちらも相続人が手続きをするのに使うことができます。