将来に備えて予め後見人を決めておく任意後見制度
- 真本 就平
- 2024年2月9日
- 読了時間: 3分
認知症などの理由で判断能力が不十分な方は、自分の財産を管理することや、
介護施設の利用などのために契約を結ぶことが、自分では困難になります。
このような方のために、本人の代わりに財産を管理したり契約をするのが
成年後見制度になります。
判断能力が低下してしまい、契約の締結などに不都合が生じてから、
家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任する「法定後見制度」を
利用することが実際には多いでしょう。
しかし、判断能力があるうちに、将来の代理人を定め、
その人との間で「任意後見契約」を結んでおき、
自分の判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所の手続きを経て、
当該代理人が後見の事務を始める「任意後見制度」もあります。
この制度について法務省がホームページの中で紹介しています。 → リンク
画像はその一部分になります。

まず、支援をお願いする人(任意後見受任者)を決めて、
将来どのような支援を受けるのかを話し合います。
そして、決定した内容に基づき、公証役場の公証人に依頼して、
本人と任意後見受任者の間で結ぶ任意後見契約を公正証書で作成します。
契約の内容は、自動的に法務局に登記されます。
本人の判断能力が低下した場合、任意後見受任者が支援を始めるには、
先に「任意後見監督人」を選ぶ手続きが必要になります。
基本的には任意後見受任者が家庭裁判所に対して必要な書類とともに
申立てをして、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。
この申立てを業務として受けられるのは、司法書士と弁護士になります。
任意後見監督人というのは、任意後見人が後見の事務を適切にしているか
監督する役割を持ち、家庭裁判所に報告することも必要になります。
この任意後見監督人には、本人の親族ではなく、
第三者である弁護士や司法書士が選任されることが多くなっています。
任意後見監督人の選任により、任意後見受任者は任意後見人となり、
任意後見監督人に財産目録を提出するなど必要な報告をして、指導を受けながら、
本人のために財産を管理したり契約をするほか、
住居の確保や生活環境の整備に関する支援を行います。
基本的に本人が亡くなるまで後見の事務は継続します。
法定後見制度に比べて、本人と直に接する任意後見人に自分の好きな人を選び、
支援を受ける内容について予め範囲を定めることも可能です。
しかし、任意後見監督人及びこれを通した家庭裁判所によって、
任意後見人は監督を受けるため、やはり記録や報告が欠かせません。
また、任意後見監督人に対して定期的に報酬を支払う必要もあります。