自筆の遺言を見かければ、まず家庭裁判所で検認
- 真本 就平
- 2024年3月11日
- 読了時間: 4分
身内の方がお亡くなりになった後、遺品を整理してみたところ、
自筆の遺言が大事に保管されているのを発見することも起こりえます。
封がされておらず、書かれていた内容に驚くかどうかはさておき、
どのように対処をすべきか戸惑うことも考えられます。
そんなときや、もともと自筆の遺言が保管されていると知るときは、
とにかく家庭裁判所でその遺言の「検認」を受ける必要があります。
なお、遺言者が自筆の遺言を法務局に保管していた場合は、
原本が自宅などに無いので、後で述べる別の手続きを取ることになります。
検認とは、国語辞典的な意味では、検査してから認定することですが、
遺言について言えば、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、
遺言書の形状や加除訂正の状態など、検認の日現在における遺言書の内容を
明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きと、説明されます。
まず、遺言書を保管する人、または遺言書を発見した相続人は、
遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、
その検認を請求しなければないと、民法に定められています。
家庭裁判所は検認の申立てを受けると、その内容を点検した上、
検認を行う日時を決めて、各相続人に対して通知をします。
検認の当日は、相続人などが家庭裁判所に集まり、
検認を申し立てた人は遺言書の原本を提出して、
裁判所が検認の手続きを進めます。
検認が終わった後は、その後の手続きに必要になる「検認済証明書」を
家庭裁判所に申請して、交付を受けることになります。
以上のことは、画像のとおり裁判所がホームページで説明しています。 → リンク

・ 家庭裁判所に検認を申立て
↓
・ 相続人へ検認期日を通知
↓
・ 遺言書の検認
↓
・ 検認済証明書の交付
遺言書の検認の申立てに当たっては、
遺言者の全相続人の氏名と住所を申立書に記載する必要がある上、
相続関係を示すために必要な戸籍謄本の一式を添付する必要があります。
※ 法定相続情報一覧図に代えることができるかどうかなど、必要書類について、
提出先の家庭裁判所に確認することをお勧めします。
なお、この検認の申立てを業務として受けることができるのは、
司法書士と弁護士に限られますので、具体的なご依頼はそちらへお願いします。
遺言書に封印がされていた場合は、勝手に開けることはせず、
封印がされた状態で検認の場へ持っていき、
相続人などの立会いの下で、開封しなければなりません。
検認の申立てをしてから検認の実施日までは、通常だと、
1カ月から2カ月ぐらいかかります。相続税申告など急ぎの手続きを
予定している場合、早めに申立てをすることをお勧めします。
また、家庭裁判所から通知を受けた相続人が、
実際に出席するかどうかは、それぞれの判断に任されているため、
検認の場に相続人全員が集まる必要はありません。
そして、不動産の登記や金融機関から払い戻しを受けることなど、
遺言の内容に従った相続手続きを進めるに当たっては、
遺言書の原本と先ほど述べた検認済証明書が必要になります。
遺言を公正証書で作っていたため、その正本か謄本が保管されていた場合は、
家庭裁判所の検認はまったく必要がありません。
相続手続きも公正証書遺言の正本か謄本で進められます。
自筆の遺言を生前に法務局で保管していた場合、やはり検認は不要ですが、
法務局に対して「遺言書情報証明書」を請求して、交付を受けることになります。
その際には、相続関係を示すために必要な戸籍謄本の一式または
法定相続情報一覧図を提示することが、法務局から求められます。
こうして入手した遺言書情報証明書を相続手続きで使うことになります。
最後に、家庭裁判所が実施したからと言って、検認の手続きでは、
自筆の遺言が有効だと認めるわけではないことにご注意ください。
遺言の内容として法律的に効果が無いことが記載されていた場合もあれば、
遺言者が認知症だったから遺言が無効だと後から判断される可能性もあります。