遺産分割協議は法定相続分にこだわらなくて良いの?
- 真本 就平
- 2024年3月19日
- 読了時間: 3分
身近な家族が亡くなった後、法要などがある程度済み、
落ち着いたところで気になるのが遺産のこと。
残された家族が妻と子、あるいは子が複数いる場合のように、
相続人が複数いると、おのずと話し合いをする機会を持つことになるでしょう。
遺産を相続人がどのように引き継ぐか、誰がどの財産を受け取るか、
相談によって決めることを「遺産分割協議」と呼びます。
この話し合いにおいて、子ども同士は平等に決まっているのだから、
それに従って遺産を分けるしかないといった考えを聞くこともあるかもしれません。
確かに民法では法定相続分が規定されています。
配偶者(結婚相手)と子がいる場合は、配偶者と子で半分ずつ、
子の間では等しく相続するといった決まりは、よく知られています。
しかし、法定相続分が絶対ではなく、相続人全員の合意により、
法定相続分とは異なる分割の結果になっても、協議の内容は有効です。
遺産分割協議に関する民法の規定を丸写しすると、
「 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、
各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況
その他一切の事情を考慮してこれをする。」
そのため、長男が不動産を相続して、他の相続人がわずかな預貯金を分け合うと、
遺産分割協議で決めることは、何ら違法ではありません。
このとき、協議に参加する各相続人は、それぞれ真意に基づいて、
協議の内容に納得して合意に達することは必要です。
相続人が誰か欠けている状態で残りの人が合意した内容を強制するのは
言うまでもなく、多数意見に対してもやもやした気持ちがあるのならば、
安易に合意せず、協議を続けるのが望ましいでしょう。
もちろん、兄弟姉妹は平等に相続すべきだという主張も、
民法で認められた権利に基づくものであり、協議の場でこの主張を貫いて、
他の参加者に同意を求める態度も、取り得る選択肢にはなります。
遺産分割が協議で合意できなければ、家庭裁判所の調停を経て、
家庭裁判所の「審判」(裁判の一種)を受けることになりますが、
審判では基本的に、法定相続分に基づいた分割内容になりがちです。
遺産の大半を不動産が占めるため、現物のままでは分割がしにくい場合、
不動産を売却した代金を相続人間で分配する方法もとられます。
(こうした方法を換価分割と呼びます。)
ちなみに、亡くなった方が遺言を残していた場合は、どうでしょうか?
実は、各遺産をどう相続人に相続させるかを遺言で指定していても、
相続人全員の同意があれば、遺言の内容とは異なる遺産分割協議を
成立させることが可能になります。
(この辺りの詳しい説明は、また別の記事で行いたいと考えます。)