養子は養親からも実親からも相続を受けられます
- 真本 就平
- 2024年3月14日
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他人の子を養子に迎えることで、実の子と同じように接することになります。
男性が妻の親の養子になる婿養子も、一昔前にはときどき見受けられました。
こうした養子が相続を受ける場合、どのように扱われるかを紹介します。
実子ではない人を養子にするのが養子縁組であり、市区町村に届け出ることで、
養親と養子との間に法律上の親子関係を作り出す手続きになります。
親が亡くなったとき、子には第1順位の相続権があるため、
養子であっても、養親の相続人になります。
では、もともとの親(実の親)との関係が断ち切られるのかと言えば、
一般的な普通養子では、決してそのようなことはありません。
養子に出されたと言っても、実の親子関係に変化は生じずに存続するので、
相続においても、当該養子は実の親の相続人になります。
そのため、養子は養親と実親の両方から相続を受けられる結果になります。

亡くなった方が遺言で指示をしなかった遺産については、
「遺産分割協議」により、どのように相続人が受け継ぐかを決めるのですが、
全相続人が協議に参加して、同意を得る必要があります。
この協議には、養子に出た実の子も参加しなければなりません。
こうした実子を抜きにして合意しても、協議は無効になります。
養子の相続について調べる場合、注意をした方が良い点として、
養親になった人の配偶者(結婚相手)が必ずしも一緒に養親にはならず、
夫婦の片方とだけ養子縁組をしている場合があります。
成年者を養子にする場合、原則として当事者の配偶者の同意は必要ですが、
配偶者と共同で縁組をする必要まではないからです。
さて、これまでは一般的な普通養子のことを話したのですが、
昭和63年(1988年)に「特別養子縁組」が始まっており、
この制度を利用された養子は、もともとの親(実親)との関係が終了します。
この場合、養親と間にのみ親子関係が成立するため、
養子は実の親の相続人にはなりません。
特別養子は、子の利益のため特に必要があると認めるときに、
家庭裁判所の手続きによって成立します。
以前は、特別養子にできるのは、原則6歳未満だったのですが、
令和2年4月からは、原則15歳未満に変更されました。
また、養親となる側は、夫婦共同で縁組をする必要があります。